JOURNAL コラム
2023.04.03 デザイナーディレクター

【実はそんなに難しくない?】難しそうなウェブアクセシビリティについて簡単に解説してみた!

こんにちは。デザイナーの中の人です。
CCG WORKING HEADSでは日々、多くのクライアント様からご依頼をいただいております。
特に官公庁に関わるご依頼では、「ウェブアクセシビリティを考慮したデザイン制作」を求められることがほとんどです。
今回は、ウェブアクセシビリティ規格「JIS X 8341-3:2016」について、関連情報と合わせてまとめてみました。

そもそも「ウェブアクセシビリティを考慮」とは

一言で言うと、「ウェブサービスがどんな人でも利用しやすい状態になっている」と言うことです。
今や老若男女ほとんどの人がインターネットを使っています。
こういった利用者の多様性を考慮して、等しくウェブサービスを提供できるようにするのがウェブアクセシビリティの目的です。
ここで言う利用者の多様性は、下記のような項目で考えることが多いです。
【年齢】・・・高齢者への配慮
【身体の機能の差】・・・障害の有無など、身体機能に制限がある方への配慮
【閲覧環境】・・・利用者がサービスを利用している環境への配慮

ユーザビリティとの違い

ユーザビリティという言葉がありますが、こちらは「(コンテンツ提供者が想定する)特定のユーザーの利便性」という意味合いで使われます。
よく「ユーザビリティの向上」という使われ方をしますが、その意味は「想定された特定のユーザーの使い勝手をよくする」とうことになります。
一方で、アクセシビリティは対象者を限定しません。利用する可能性があるユーザー全員を想定します。
なので、「アクセシビリティを考慮」するということは、「コンテンツが利用できないユーザーをいかに減らすかを考える」という意味合いになります。

「JIS X 8341-3:2016」とは

一言で言うと「規格」です。標準としての定めです。
頭文字についている「JIS」とは日本産業規格の略で、「日本が定めた国家規格」と言う意味です。
国が標準を示すことで、社会や経済活動において利便性や効率化を図ることができます。
「JIS X 8341-3:2016」はJISの中の「情報通信における機器、ソフトウェアおよびサービスの情報アクセシビリティ」についてまとめた規格になります。
(JISには様々な分野があります。自動車から文房具まで・・・。その中でITが関連するのが「JIS X 8341-3:2016」です。)
(ちなみに、「8341」はやさしいの語呂合わせからきています。唐突なポップな感。)
さらに、規格内で【レベルA】、【レベルAA】、【レベルAAA】と品質基準が設けられていて
業務上では【レベルAA】の達成を求められることが多いです。
参考:WAIC JIS X 8341-3:2016 解説

【補足】W3Cとは

W3C(World Wide Web Consortium)とは、Web上で利用される技術の標準化を進めるために設立された非営利団体です。
JISが日本国内の規格を定めるのに対し、W3Cは国際的な規格団体であり、ここで定められた規格は世界中で利用されています。
「JIS X 8341-3:2016」もW3Cの規格の多くを参考にしています。

「JIS X 8341-3:2016」の達成項目

「JIS X 8341-3:2016」の規格は、大きく4つの項目に分けられています。

1.知覚可能

「知覚可能」とは、利用者にとって知覚できる形で情報が提示されている状態のことを指します。
知覚可能について考慮すべき例をいくつかあげてみます。

【視覚障害の方への考慮】・・・スクリーンリーダー(読み上げソフト)で読まれるようにデザインする。
・説明図など、複雑な画像のaltで読み上げられない情報は、テキスト情報としても載せる
・テキストリンクは遷移先がわかるような文章を入れる

【聴覚障害の方への考慮】・・・音声だけで情報を伝えない。
・動画などは字幕を入れる

【色覚異常の方への考慮】・・・色だけで情報を伝えない。
・入力フォームなどでは、必須項目は赤字にするだけでなく[必須]と入れる

2.操作可能

「操作可能」とは、利用者にとって操作できる状態のことを指します。
操作可能について考慮すべき例をいくつかあげてみます。
・マウス操作ができない人のためにキーボードでの操作を可能にする
・フォーム入力などで、入力に時間がかかる人のために制限時間を長く設定する
などが挙げられます。

3.理解可能

「理解可能」とは、利用者にとって操作方法が理解できる状態のことを指します。
フォーム入力をして送信してもエラーになったことはありませんか?
その時にエラーテキストが具体的でなく、何を直せばいいのか分からないのは
利用者にとって「理解可能」ではないという状態です。

4.堅牢性

「堅牢性」とは、どのようなユーザーの閲覧環境でも情報を正確に解釈できるようにすることを指します。
最近はスマホの利用率が高くなり、サイト制作もスマホファーストになってきましたが、
スマホでアクセスできるが、PCでアクセスできないサイトは、
デバイスによって情報格差が出ているので堅牢性が保てていない状態です。
また、一昔前は「Internet Explorerだけ表示が崩れる!」といったIE対応が大変だった時代がありましたが、
こちらもOSやブラウザによって情報の解釈に差が出ないように、「堅牢性」を保つための作業と考えられます。

終わりに

いかがでしたでしょうか?
身体に障害を持つ人々にとって、インターネットは生活の質に関わるインフラです。
ウェブアクセシビリティが考慮されていないと、宅配でものが買えなくなったり、目的地までの道のりなどを事前に知ることがでず、
健常者の何倍もの苦労が出てきてしまいます。そういった事態は避けなければなりません。
また、日本は今後ますます高齢化社会となっていくので、サイトの訪問者の平均年齢もどんどん上がっていくでしょう。
今後はより一層ウェブアクセシビリティの考慮が欠かせないものになっていきます。
「JIS X 8341-3:2016」を読もうとすると、とっつきにくい感がすごいですが、
落ち着いて1つ1つ読んでみると書かれていることは難しくないです。
参考:WAIC JIS X 8341-3:2016 解説
これを機に、みなさんも一読してはいかがでしょうか?

CCG WORKING HEADSでは、サイト制作やウェブデザインなど、デジタル領域のクリエイティブを軸に、お客様の想いをカタチにします。
お問い合わせから、お気軽にご連絡ください。

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